奇妙な味わいの話 - 贋作・猟奇歌
贋作・猟奇歌

ごめんなさい、ごめんなさいと泣きながら吾を打つ母

首吊りし母の足と戯れる子

恋人の入れ眼に映る月と吾

心中しましょうかという女の笑顔

嘔吐した吐瀉物の中の金魚

押入れに閉じ込められし来客の夜

昔日の殴られし憎悪を死に逝く男に語る吾

殴りつけた女のぞっとする目

盗みし下着の経血の跡をそっと舐めてみる

今、人を轢き殺したのという電話の声

脳死せし祖母の耳より垂れ出る黒き膿汁を拭き取る父

亡き父の名で吾を呼ぶ気狂いの母

流れてはくれぬものかと思いつつ、身重の妻の背をそっと押す

四尺の身の丈に産みし母を恨む

石くれに打ち潰せし右の手の第六指

肥取りが便壺より救い出した子と蔑まれ

背負うた子の眠りし内に心中す

轢死体バケツ3個で一人分

口惜しい恨みはらせず死ぬ吾が

気狂いの母を背負いて伊勢参り

殺されし娘の棺、腕ひとつ

贓物のむうとする匂いに精を漏らす

耳たぶがないのと叫ぶ女と寝る

捨て犬に咬まれたばかりに狂い死に

ピストルを突きつけた女の漏らす尿の香り

いきり立つ逸物に釘を打つ

我慢せぇと幼き体躯を抑えつけ我が娘を犯す好色の父

時計屋の狂いし時計鳴る刻に吾の内なる暴力が啼く

昨日寝た女がどぶ河に浮かぶ昼下がり